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「今後15年で32校減」少人数学級なら必要なし

2025.08.19

◆大阪府総合教育会議で「府立高校改革アクションプラン(抄)」を公表

 8月18日、知事と教育長・教育委員で構成する大阪府総合教育会議が開催され、「府立高校改革アクションプラン(抄)」が公表されました。これは、今年3月に決定された「府立高校改革グランドデザイン」を具体化するもので、全体についての詳細な内容は8月26日の教育委員会会議で公表される予定です。

◆2025年136校→2040年104校!?

 アクションプランは、「学校改革」と「今後の再編整備の方向性」について記述しており、学校改革では、新たな普通科(文理探求科)の設置(令和8年度2校)、「新工業系高校」(仮称)の開校(令和10年度)、商業系高校・農業系高校の「今後のあり方について検討」、学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置(令和8年度)、日本語指導が必要な生徒を支援するための「拠点校」の整備(大阪わかば高校・令和10年度から)などが打ち出されています。   
 一方、今後の再編整備の方向性では、昨年度に生まれた子どもが15歳に達する2040年の府内公立中学校卒業者数が、約4万9千人(今年3月の約75%)になるとして、2040年の府立高校の適正学校数を104校程度(現在の136校から32校程度の減少)と試算しています(通信制・募集停止が決定された学校除く)。また、校舎の老朽化について、今年3月末時点で、築40年以上の学校が全体の約7割を占め、うち70年以上が4校、今後5年でさらに7校増えると指摘しています。さらに、再編の手法について、これまでの既存校舎を活用した統合整備や、同一学科同士での統合は、学校の「刷新感が不十分」という課題があるとし、今後の再編手法として、「地域の拠点校的な学校の設置」「複数学科の設置」「新校の教育内容の一層の特色化」「建替え・美装化を行った校舎での新校開校」などを含めて検討するとしました。
 18日の会議を受けてマスコミは「大阪府立高校は32校減が適正」などの見出しで報道を行っています。また、吉村知事の「人口減少の中で、教育の質を高めながら高校再編・整備をやっていく」などの発言も紹介されています。

◆40人学級・1学年7クラスは過大・過密

 しかし、府教委の試算は、15歳人口の減少分を「40人学級、1学年7クラス」を前提に学校数に換算しただけのものです。仮に「30人学級」で計算し直せば、1校も減らす必要などありません。国際社会では20人学級が当たり前であり、国内でも中学校まで35人学級化が進行している現在、15年後まで「40人学級」に固執して試算を行う大阪府・府教委の姿勢はきわめて不当です。不登校生徒の増など、1人1人に行き届いた教育が今まで以上に求められているもと、将来を見据えて、府として少人数学級にふみだすことこそ、グランドデザインが掲げる府立高校の「魅力化」、知事の言う「教育の質を高める」ことなのではないでしょうか。
 府高教は、引き続き、グランドデザイン、アクションプランの問題点を明らかにし、真に府民の願いに応える府立高校の実現に向けて、府民との共同を大きく広げ、運動に全力をあげます。