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高校卒業予定者の就職保障を求める要請書(2009年9月)

2010.04.27

2009年9月16日

大阪府教育委員会 教育長 中西 正人 様

大阪府立高等学校教職員組合

執行委員長 志摩  毅

 

 

高校卒業予定者の就職保障を求める要請書

 

 

  昨年秋のアメリカ発の経済危機を契機に、現在、日本では深刻な雇用情勢となっています。今年の新規高校卒業生に対する求人は大きく減少し、学校現場から 「昨年の半数程度の求人数である」「昨年と比較して激減している」「女子生徒の就職先がない」と言った厳しい状況が報告されています。

  また、男女格差、地域格差や全定(全日制・定時制)格差は依然残り、より厳しい状況を呈しています。このままでは就職したくても就職できないで卒業する生 徒が多数、生じるという由々しき事態が予想されます。その上、新規高卒求人の中に依然、多数の派遣や有期雇用など非正規の求人があると学校から報告されて います。また、新規高卒者の入社3年以内の離職率は47.9%(厚労省の「労働経済白書」:平成21年版より)と極めて高く、離職後に待っているのは非正規の雇用であり「ワーキングプア」です。昨年秋からの企業による「雇い止め」「非正規切り」により、多くの労働者が職を失い、住むところもなくすというひどい状況が報告されています。

このような状況の中で、高校生たちは不安と期待を抱きながら本日、9月16日からの就職試験に臨みます。今こそ、行政・企業は、その社会的責任を果たすべきです。貴職におかれましては、すべての高校生が

夢と希望をもって社会に巣立っていくことができるよう、下記事項の実現に向け、対策を講じられますことを強く要請します。

 

 

1.高校卒業予定の就職希望者全員が就職できるよう求人を拡大すること。

 ①府教委としての職員募集に際して、高卒者の枠を拡大すること。

 ②30人学級の早期策定、教諭外職種の退職不補充中止など、教育分野の雇用創出を行うこと。

 ③府内企業・経営者団体及び公的機関に高卒新規採用の拡大を働きかけること。

 ④中小企業や大阪の伝統的産業地場産業が高卒生を新規採用できるよう支援策を講ずること。

 ⑤障害者の雇用拡大に向けて、企業に法定雇用率を守らせるなどの対策を講ずること。

 

2.募集・採用のルールが守られるよう指導すること。

 ①新規学卒者に対しては常用雇用の求人が行われるよう、企業や関係機関に働きかけること。

  また、非正規雇用を正規雇用に置き換えるようにも働きかけること。

 ②求人取り消し・内定取り消しなどを行った企業を厳しく指導すること。

 ③思想・信条の自由や人権に関わる違反質問・調査などを行った企業を厳しく指導すること。

 

3.学卒未就職者に対する支援を行うこと。

 ①学卒未就職者の実態を把握し、希望者には公費による職業訓練を保障すること。

 ②職業訓練中及び求職活動中の学卒未就職者に対して、求職活動手当が支給されるよう国に働きかけること。

 

4.府立高校各校で求人開拓など就職にかかわる教職員の勤務が増加している実態を踏まえ、

  進路加配の拡大、旅費・通信費・手当の増額など、緊急の手だてを講じること。

 

5.府教委としても、「働くルール」の確立及び「産業空洞化」に対する対策を講ずること。

 ①企業による一方的な解雇をなくすために、解雇4原則の徹底などの指導を強めること。

 ②厚生労働省通達にもとづき、「サービス残業」の根絶めざして強く指導すること。また、男女共通の時間外労働の上限規制を行うよう、国に対して働きかけること。

 ④工場の海外移転などで国内での雇用を減らしている企業を対象に、「産業空洞化」に対する

  対策を講ずるよう、国・関係機関等に働きかけること。