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2009年府労組連秋季・年末要求書

2010.04.27

2009年10月27日

   大阪府知事 橋下 徹 様

 

                     大阪府関連労働組合連合会

                     執行委員長 辻  保 夫

 

2009年府労組連秋季・年末要求書

大阪府職員・教職員は、定数削減のもと多忙、過密な労働実態に加え、12年間に及ぶ給与抑制、一時金の削減、とりわけ昨年8月からの平均13%の大幅な人件費削減により、職員・教職員の生活状況は一層厳しいものとなっています。

10月13日に大阪府の人事委員会勧告が出されました。その内容は、公民格差▲0.22%、一時金0.35月削減という極めて不当なものです。公民格差は、本来実際に支給されている給与をベースに比較するものであり、その点では公民格差はプラス6.73%(25,290円)であり、給与や一時金のカットの中止を勧告すべきものである。また、財界が09春 闘において本来内部留保の一部を吐き出し、雇用や賃金引き上げに回すべきところを、逆に一時金の大幅削減など賃金抑制攻撃を強化し、その結果を、公務部門 に押し付け、さらに全労働者に賃金抑制を押し付けていくという、財界・政府・人事院が作り出した史上最悪水準の大幅賃金削減に追随するものであり、内需拡 大・経済の活性化に逆行するものであり断じて容認できません。

経 済危機のもとで、労働者や下請け中小企業者が生存の危機にさらされている時、大阪府に求められるのは、①大企業に対し、派遣や期間工を含め従業員の雇用や 生活を守ること、下請け中小企業への仕事の確保や価格保障を行うことを、強く要請する ②登録型派遣の禁止など派遣法の抜本改正、最低賃金改善など全労働 者の雇用確保と賃金改善へむけて、国・関係機関に働きかける ③大阪版市場化テストや民間委託による委託先労働者の労務単価の引き下げ、福祉や医療職場で の低賃金状況の放置など、官製ワーキングプアをつくるのではなく、公務サービスを担う労働者の賃金改善のための公契約条例の制定や公私間格差の是正を行う などの対策を講じることです。

以上のことをふまえて、府労組連はすべての職員・教職員が、府民と子どもたちの要求と期待に応える職務を遂行できる賃金・労働条件を確立するため、下記のとおり要求します。誠意を持って回答されるよう強く要請します。

1.労使慣行を遵守し、労使間の確認事項を遵守すること。また、一切の不平等扱いをただちに解消すること。

2.大阪府人事委員会の不当なマイナス勧告を理由とした、月例給や一時金の削減、住居手当の廃止を行わず、生活改善につながる賃上げを行うこと。

3.年末手当の削減を行わないこと。また、一時金の時限的カットを中止し、年末手当を12月10日に支給すること。「職務段階別加算」を廃止し、全職員に一律に加算するとともに、勤勉手当への「評価結果」の反映、扶養手当の算出基礎からの除外を撤回すること。

4.08年8月からの「財政再建プログラム案」に基づく給与カット、退職手当5%削減を直ちに中止するとともに、改悪された住居手当・旅費・通勤手当を復元すること。府関係職員の賃金の切り下げ・賃金抑制を改め、賃金・諸手当の抜本的改善、賃金体系の改善を行うこと。

5.非常勤職員・臨時教職員・非常勤講師等の雇用の継続、賃金の引き上げ、労働条件の改善を行うこと。非常勤講師の賃金制度の改悪を元に戻し、昨年の水準を下回らないよう賃金を大幅に増額すること。

6.任用制度については、職員が働きがいを持って十分に能力を発揮でき、安心して職務に専念できる制度に改善すること。

7.「首席・指導教諭」制度を廃止し、「特2級」適用をやめること。教員に対する主任手当は支給しないこと。

8.「再任用制度」については、希望者を全員雇用すること。運用にあたっては引き続き府労組連と十分協議すること。また、非常勤登録制度の運用の拡大、非常勤特嘱・若特制度、「教育専門員制度」を復活させること。

  新たな高齢雇用施策は、「雇用と年金の接続」を大原則にすること。また、60歳の定年年齢を65歳まで延長する仕組みを検討するに当たっては、本人選択に配慮するとともに、早期退職による不利益をもたらさず、60歳前後の賃金水準を低下させることのないよう、府労組連と十分に協議すること。

9. 「評価・育成システム」「新人事評価制度」の「評価結果」の賃金リンク(一時金・昇給)は撤回すること。また、「評価・育成システム」は子どもと教育をゆ がめる重大な問題を含むものであり廃止・撤回すること。「新人事評価制度」は、職場の矛盾と混乱を拡大する一方的な制度改変ではなく、抜本的な見直しを行 うこと。

10.大企業奉仕、府民・職員に犠牲を強いる「大阪維新プログラム案」を撤回し、府民本位の財政再建を行うこと。「大阪版市場化テスト」を撤回すること。試験研究機関の独立行政法人化や指定管理者制度の拡大を行わないこと。

  府民サービスの向上、少人数学級の拡大などゆきとどいた教育の推進、労働条件の改善に向け、大幅な定数増を行うこと。また、府立学校技術職員(校務担当)及び現業職員の「退職不補充・民間委託化」を撤回すること。

11.府立5病院を直営に戻すこと。また、公的医療を守り拡充する立場から運営交付金を大幅に引き上げるとともに、医師・看護師確保のための抜本的な対策を講じること。早期退職が相次ぐ法人職員の賃金・労働条件の改善を指導すること。

12. 「大阪府立大学のあり方」については、大学の自律性を尊重し、教職員、学生や卒業生を含めた幅広い府民の声を取り入れること。公立大学法人の設立団体とし て、大阪府立大学を他の国公立大学法人と同水準の学費で運営できるように運営交付金を増額すること。また、教育研究施設の耐震を含む安全確保と周辺環境へ の負荷低減のために、設立団体の責任において、十分な施設整備補助金を措置すること。

13.総務サービスセンターの現行システムは本来業務に支障をきたしており、人的措置を講じること。また、学校総務サービス事業については、事務室設置、研修の充実など、条件整備を引続き行うこと。

14.時短と労働条件改善のため、次の要求を実現すること。

(1)1日の勤務時間を拘束8時間(実働7時間、週35時間)とする勤務時間条例の改正を行うこと。とりわけ、終業時間繰上げによる所定内勤務時間の15分短縮を直ちに実施すること。また、長時間通勤を改善し、実質的な労働時間の短縮をはかること。

 (2)有給休暇の取得を促進すること。

 (3)時間外勤務・恒常的残業をなくすため、抜本的対策を講じること。時間外勤務は、原則として1日2時間、1週5時間、年間120時間とする上限規制を行い、最低限、当局自身が定めた年360時間の上限規制に責任を持ち、実効ある措置を講じること。厚労省通達に基づき、サービス残業を根絶する適切な措置を講じること。また、労基法「女子保護規定」廃止を口実とした労働条件の切り下げは行わないこと。

   労働時間管理の現状を把握し問題点及びその解消等の検討をおこなう労使の「推進委員会」を設置すること。

 (4)超過勤務の割増率を100分の150(深夜・休日等は100分の200)に引上げること。また、人事委員会勧告にあわせ、割増率を改善すること。

15.教職員の異常な長時間・過密労働を解消するため、以下のことを行うこと。

 (1)超過勤務ならびに休日出勤、休憩時間の取得状況など、労働実態調査を行うこと。また、協議の場を設けること。

 (2)教職員の勤務時間管理は、当該校の校長の責任であることを明確にするとともに、超過勤務の解消や休憩時間の取得にむけた実効ある手立てを取るように強く指導すること。09夏季闘争時に回答のあった教職員の勤務時間の適正化等にかかる検討状況を明らかにし協議すること。

 (3)授業持ち時間の上限規制、部活指導による超過勤務の縮減、80%の出勤率にもとづく定数配置、年齢構成の是正などを行うこと。

 (4)病休・産休等の代替講師、体育実技軽減等の非常勤講師を確保するための抜本的対策を講じること。また、地公法22条2項の脱法行為に等しい定数内講師等の大量採用をあらため、正規教職員を確保すること。

16.育児にかかる短時間勤務制度及び高齢者部分休業制度については、安心して取得できる人員確保と職場環境の整備をはかること。また、正規職員での代替措置を行うこと。

  人事院の「意見具申」に基づき育児休業等をすることができない職員の範囲の見直しや男子職員の再度の取得ができる改正について直ちに実施すること。

  3歳未満の子のある職員が当該子を養育するために請求した場合は超過勤務をさせてはならない規定を設けること。

17.特別休暇等の拡充に向け、次の要求を実現すること。

 (1)特別休暇の拡充を行うとともに、諸権利行使を保障する条件整備(人員増など)をはかること。人事院勧告に基づき「子の看護休暇」の拡充、「短期の介護休暇」の新設をすること。

 (2)出産、育児、介護に係る休暇制度の拡充を図るとともに、代替要員の確保を行うこと。

 (3)次世代育成支援行動計画の見直し・改善へ向け、十分な労使協議を行うこと。

18.「療養に専念させる」という本来の趣旨に沿った病気休暇・休職制度となるよう、制度を拡充すること。

19.新型インフル問題について、府民や子どもの命と健康、感染拡大を防止するため、次の要求を実現すること。

 (1) 新型インフルエンザ対策については、公的責任を明確にするとともに健康危機管理対応と位置付け、予算・人員増など抜本的に体制を強化すること。

(2) 修学旅行等の学校行事の中止、延期にかかる諸費用については公費負担とすること。

 (3)府職員・教職員の服務については、特別休暇や労働条件の確保など府民サービスの低下を招かないことや教育的な配慮を踏まえたものとすること。

20.労働安全衛生対策を抜本的に強化すること。

 (1)労働安全衛生協議会(委員会)の拡充、定期健康診断の改善など健康管理体制の充実をはかること。また、小・中学校における「医師の面接指導」体制の整備など、実効ある労働安全衛生体制を確立するよう強力に指導・推進すること。

 (2)精神疾患等による休職者の職場復帰に伴う対策を拡充すること。

 (3)脳ドック、ストレスドックに助成を行うこと。また、メンタルヘルス対策を強化すること。

 (4)IT化に伴う職場環境の整備と安全衛生対策を講じること。

21.障害を持つ府職員の採用枠の拡大と適職保障、支援制度、職場環境改善を行うこと。

22.地公法42条に基づく福利厚生事業の拡充を図ること。

23. 府庁舎のWTC移転案は撤回するとともに、耐震補強案の具体化を提示し、①快適で働きやすい職場環境の確保など組合員の要求実現②便利で利用しやすくて福 祉の充実など府民福祉の向上③政府・財界の地域支配の拠点ではなく、府民の自治と文化の育成の3項目を基本に府労組連と十分に協議すること。また、庁舎や 執務室、府立学校などの職場環境の改善をはかること。

24.女性の登用の拡大やセクシュアル・ハラスメントなどの防止対策の拡充、パワー・ハラスメント防止対策指針の早期策定など、働きやすい職場環境と労働条件の改善をはかること。

25.「安全・安心な学校」に向けて、教職員増、学校警備員や交通指導員の配置、警報装置の設置など、条件整備をすすめること。

以  上