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府立高校教諭の「長時間労働」提訴について(声明)

2019.03.06

◆勇気ある提訴に心からの連帯を表明します
 報道によれば2月25日、大阪府立高校教諭の西本武史さんが、長時間労働が原因で適応障害を発症したとして大阪府に損害賠償を求め、大阪地裁に提訴しました。
 この背景には、全日制教員の年間超過勤務が、出退勤打刻で把握した在校時間だけで平均400時間にもおよぶ府立高校の異常な長時間労働の実態があります。この間府高教は、こうした現場の実態を示し、教職員定数増など抜本的対策で異常な長時間労働を解消するよう府に求めて来ましたが、府教委は「働き方改革」と言いながら、何ら有効な施策を行ってきませんでした。そうした中、西本さんをはじめ、教職員に健康被害が生じていることはきわめて重大であり、府教委の責任が厳しく問われます。
 府高教は、勇気を持って提訴された西本さんに心からの連帯を表明するとともに、教職員定数増・長時間労働解消に向けて、引き続き運動に全力をあげます。

 

◆教職員定数の抜本的増こそ長時間労働解消の道です
 教職員の長時間労働の最大の原因は「給特法」体制のもと、人件費抑制として教職員定数が削減されてきたことにあります。
 給特法(国立及び公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法、1971年制定)は、教員には原則として時間外勤務は命じないとした上で、臨時又は緊急やむを得ない場合、かつ「限定4項目」(①生徒の実習、②学校行事、③職員会議、④非常災害等やむを得ない場合)に限り、命じられるとしており、その限度は、教職調整額(4%)に見合う「月8時間」となっています。しかし、時間外勤務手当・休日勤務手当が支給されない(残業代ゼロ)制度であることから、当局には時間外勤務を抑制しようとの動機が働かず、業務量増大の温床となっています。
 こうした制度のもと、大阪では、「財政危機」を理由に人件費削減が強行され、教員の単独加配ゼロ、実習教員の退職不補充・国基準への削減、事務職員2名削減、技術職員の退職不補充・民間委託化、教務事務補助員・非常勤補助員一斉削減など、教職員定数が大きく削られ、長時間・過密労働をまん延させてきました。また、多様化・特色づくり政策によって業務そのものが増加していること、「3年連続定員割れで再編整備」など、維新府政による競争至上主義の施策で不毛な学校間競争が煽られ、中学校訪問、学校説明会、オープンキャンパスなど、そもそも教職員の本来業務ではない「生徒集め」の業務が教職員に押しつけられていることなども長時間労働増大の大きな原因です。
 今、求められているのは、削減された教職員定数を回復し、業務量に見合う人員を確保するため、抜本的に増やすことです。ところが、国の「働き方改革」では、変形労働時間制という、仕事も減らさず人も増やさず、逆に長時間労働を助長するような制度が示され、月100時間の超過勤務も容認する「超過勤務の上限ガイドライン」が示されました。府の「働き方改革」も「部活動方針」や「学校閉庁日」などにとどまり、「部活動指導員」の19年度の配置はわずか20名です。
 教職員の長時間労働は、違法な不払い残業であり、労働安全衛生上の問題であるだけでなく、生徒の教育条件の低下に他なりません。国・大阪府は、この問題の解決に向けて、ただちに抜本的な教職員定数増を行うべきです。また、長時間労働をいっそう深刻化させる変形労働時間制導入ではなく、計測可能な超過勤務への割増賃金支給に向けて、給特法の改正を行うべきです。

 

2019年3月6日 大阪府立高等学校教職員組合