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大阪市立高校の府移管に対する見解

2019.09.04

「都構想」の既成事実化は、やめよ!
―無責任・無計画な移管で、教育条件を低下させるな―

 

 9月2日付で一部マスコミが「大阪市立の全21高校を大阪府に移管することで、大阪府と大阪市が合意した」との報道を行いました。
 その内容は、①大阪市立高校21校全校を2022年4月に府に移管する方向ですすめる、②2020年夏頃までに「移管計画」をとりまとめ、秋の府・市両議会に条例改正案を提出する、③市立高校の再編整備の方向性について、今後府市で議論し整理していく、④2022年4月に新校設置となる、市立南高校・西高校・扇町総合高校の3校統廃合について、廃校となる南高校・西高校の校舎・用地は移管しない、⑤市立工芸高校に併設されているデザイン教育研究所(専門学校)は移管しない、などとなっています。
 今回、明らかになった「大阪市立高校の府立への移管」は、以下の点から重大な問題を持つものであり、実施すべきではありません。

 第一に、大阪市立高校を府に移管することに、教育上の必要性はまったくありません。専ら維新の会がねらう「都構想」の既成事実化を図るための施策であることは明らかです。府教委は「移管によって教員の異動の範囲が広がり資質向上につながる」と説明していますが、教員の資質向上のためであれば、研修を充実させれば良いことです。「二重行政の解消」「広域行政と基礎自治体との役割分担」を掲げる「都構想」の本質は、政令市の財源を府が吸い上げて「一人の指揮官で」巨大開発やカジノ建設につぎ込むことにあるのは明らかです。それによって教育や福祉の予算は、削減されることが強く懸念されます。住民投票できっぱりと否決された「都構想」を蒸し返すために、教育制度を変更し、教育条件を低下させるなどは絶対に許せません。

 第二に、歴史と伝統を持つ政令指定都市として、大阪市は、市立高校において、府立高校とは異なる、独自の教育を実施してきました。それを、何の計画もなく、府に丸投げするなどはきわめて無責任であり、学校や生徒を混乱させるものです。また、これまで培われた市立高校の伝統や文化が失われることになれば、大きな損失であり、高校進学をめざす大阪の子どもたちの選択肢を狭めることにもなります。工芸高校に併設され、デザイン界に多くの人材を輩出してきたデザイン教育研究所が、移管の対象となっていないことは、その一例です。

 第三に、府立への移管を契機に、高校つぶしがねらわれていることは明らかです。「3年連続定員に満たない高校は再編整備」との府立学校条例が適用されることで、「定員に満たない」状況が続いている、市立工業高校の統廃合などが懸念されます。子どもたちの「学ぶ権利」を保障するために設置されている公立高校を「定員」で競わせ、統廃合する施策には何の道理もありません。理不尽な高校つぶしは断じて許せません。

 今回、明らかになった内容の最終決定は、2020年秋の府議会・大阪市議会での条例改正です。府高教は、「都構想」ごり押しのための再住民投票反対のたたかい、「定員」を理由にした高校つぶし反対のたたかいと結びながら、道理のない「市立高校の府立移管」に反対し、とりくみに全力をあげます。