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8月30日 大阪の高校を守る会が声明を発表

2021.09.08

コロナ禍のもとで子どもたちの「学ぶ権利」を奪う高校つぶしは撤回せよ(声明)

 大阪府教育委員会は、8月30日の教育委員会会議で「府立学校条例、再編整備計画に基づく令和3年度実施対象校(案)」を示し、「様々な意見を踏まえ11月の教育委員会会議で最終決定する」としました。その内容は「3年連続して志願者が定員に満たない状況が続いている」ことを理由に、島本高校、茨田高校、泉鳥取高校の3つの府立高校を募集停止し、島本高校は阿武野高校に、茨田高校は野崎高校に、泉鳥取高校はりんくう翔南高校に、それぞれ「機能統合」するというものとなっています。
 これは、長引くコロナ禍のもと府民の生活がますます厳しさを増しているさなかに、府の責任を放棄し、地域で重要な役割を果たしている学校をつぶし、子どもたちの「学ぶ権利」を侵害するとともに、地域の活力を低下させる暴挙であり、ただちに撤回すべきです。府教委「案」のおもな問題点は以下の通りです。
 第一に、そもそも、高校で学びたいと願う子どもたちの「学ぶ権利」を保障するために設置されている公立高校の「定員」には「ゆとり」があって当たり前であり、「志願者が定員に満たない」ことは募集停止の理由にはなりません。
 府教委は、毎年「進学セーフティネット」として、公立・私立の募集数の合計が進学予定者数を上回ることを確認しており、先に入試を行う私学の一部が定員をはるかに上回る合格者を出しているもとで、公立高校の一部で「志願者が定員に満たない」状況が生ずるのは制度上の必然です。「学びたいのに行き場がない子」を出さないための制度を理由に学校をつぶすことには道理がありません。
 第二に、2004年に通学区が撤廃され、進学指導特色校が設置されるなど、府の施策によって、府域全体で偏差値による競争と学校の序列化が進められたもとでは、府の周辺部に位置する学校や、高校進学を願う子どもたちの「最後の砦」となる学校が、「志願者が定員に満たない」状況となるのは明らかです。これらの学校は、子どもたちの「学ぶ権利」を保障するとともに、「地域の学校」として重要な役割を果たしており、無くしてしまえば地域にとって重大な損失です。
 第三に、府教委は、普通科高校の募集学級数を6クラス以上としていますが、全国的には1学年2学級から4学級の学校も少なくありません。また、1学級の定員を40人として募集を行っていますが、多くの都道府県では少人数での募集が行われており、OECD加盟国の平均は20人余りとなっています。少子化を理由に学校をつぶすのではなく、少子化をチャンスと捉え、少人数学級の実施、学校規模の縮小など、一人ひとりに行き届いた教育のための教育条件改善こそ行うべきです。
 大阪の高校を守る会は、この間に再編整備の対象となった府立高校の父母・卒業生・教職員・地域住民を中心に結成され、道理のない高校つぶしとその元凶である府立学校条例の抜本見直しを求めて毎年大阪府に署名を提出するなど、取り組みを進めてきました。今後、募集停止案が示された3校の存続と条例の見直しに向けて、府民的な共同をいっそう広げ、運動に全力をあげるものです。当面、9月18日に開催する決起集会への広範な府民のみなさま のご参加を呼びかけます。

2021年8月30日
大阪の高校を守る会