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9月20日 大阪の高校を守る会が記者会見

2022.09.21

 大阪の高校を守る会は、9月20日に記者会見を開き、道理のない高校つぶし案の撤回を求める署名活動を開始したことを報告しました。会見での、守る会のおもな主張は以下の通りです。

 

1.そもそも進学を希望する子どもたちの「学ぶ権利」を守るために設置されている公立高校の定員には「ゆとり」があって当たり前であり、府立学校条例第2条の規定(入学を志願する者の数が3年連続して定員に満たない高等学校でその後も改善の見込みがないと認められるものは再編整備の対象とする)には道理がない。

 

2.府教委自身、毎年の募集定員を決定する際に、公立・私立をあわせた定員が「進学予定者数」を上回っていることを確認している。これは「就学セーフティネット」のためであり、制度上の必然として、毎年どこかの学校が定員に満たない状態となる。進学したいが行き場のない子を出さないためにわざとつくられている「ゆとり」を理由に学校をつぶすことには整合性がない。

 

3.中学校3年生の12月時点の進路調査(中学校校長会のもの)では、約8割の生徒が公立高校への進学を希望している。しかし、実際には公立受け入れは約6割で、この間、年々下がっている。それは、2014年にそれまで4学区(さらに以前は9学区)だった通学区が撤廃され、進学指導特色校がつくられるなど、競争を煽る施策によって、受験競争が府域全体に広域化・激化し、“人気校”に生徒が集中しているためだ。2021年度入試では、「定員割れ」2411人に対して、「不合格者」が5666人にも上っている。競争を緩和し、「希望者全入」こそめざすべきだ。

 

4.私学「無償」などと言われているが、実際には授業料の減免に所得制限があり、平均20万円の入学金や、制服や鞄など指定物品購入で公立に比べて負担が大きい。減免される授業料も、一旦全額を納入し還付される方式の学校が多く、当座の負担も大変だ。経済的理由で公立進学を希望する家庭も多く、近くに通える公立高校がなくなることは大きな問題だ。

 

5.少子化を理由に学校をつぶすのではなく、少子化をチャンスと捉え、少人数学級や学校の小規模化など、教育条件改善こそ求められている。この間、ますます生徒一人一人に丁寧な対応が求められるようになってきている。コロナ禍で一時的に実施された「20人学級」は、生徒・保護者・教職員から大変好評で、これを機に国は小学校の35人学級を拡大した。中学・高校でも、OECDの平均学級定員は23人であり、少人数学級の実施こそグローバルスタンダードだ。

 

6.定員を理由にした募集停止・廃校では、交通不便地の学校や、中学校までに勉強につまづき「学び直し」を求める子どもたちの「最後の砦」となる学校が、次々なくなっている。今回の平野高校、美原高校はいずれも松原市をはさんで近接しており、2校ともなくなればこれまで両校に自転車で通っていた生徒たちの行き場がなくなる。かわち野高校は、盾津高校と加納高校の統廃合によってできた学校、その機能統合先とされている枚岡樟風高校は食品産業高校と玉川高校が統廃合された学校であり、地域にとっては4校あった学校が1校になる。
 昨年、阪南市唯一の高校の泉鳥取の廃校が決定されたが、阪南市では市長、市議会、地元自治会など市を上げて反対が表明され、決定後も、市内の子どもたちの受け入れ先確保を求める決議が市議会で上がっている。
 柏原市唯一の公立高校だった柏原東高校が廃校になった柏原市では、高校進学率が低下している。
 競争原理、市場原理を優先して「地域の学校」を廃校にすれば、地域の子どもたちの学ぶ権利が侵害され、地域社会から活力が奪われる。

 

7.以上のことから道理のない高校つぶし案は撤回し3校を存続させるとともに、元凶となっている府立学校条例は見直すべきである。