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8月26日 大阪の高校を守る会が見解を発表

2025.08.26

府立高校改革アクションプラン(案)、令和7年度実施対象校(案)に対する見解

              2025年8月26日 大阪の高校を守る会

 

 大阪府教育委員会は8月26日、「府立高校改革グランドデザイン」(2025年3月)の具体化である「府立高校改革アクションプラン(案)」と「府立学校条例及び再編整備計画に基づく令和7年度実施対象校(案)」を示し、いずれも11月の教育委員会会議で最終決定するとしました。アクションプラン案は、「中長期的」な「再編整備の考え方」と「学校改革」について述べており、15年後の2040年の府立高校数を104校程度(32校減)と試算しています。実施対象校案は、「定員に満たない状況が続いている」として、府立門真西高校、府立懐風館高校を令和9年度(2027年度)から募集停止し廃校にするとしています。
 これらは、道理のない高校つぶしで子どもたちの学ぶ権利を奪い、大阪の教育条件を低下させるものであり、断じて容認できません。
 第一に、再編整備の考え方で示された「15年で32校減」の試算は「1学級40人、1学年7クラス」を前提としたものであり、全国から見ても過大・過密です。仮に「30人学級」とすれば一校も減らす必要がありません。不登校の増加、全日制進学率の低下と通信制進学率の増加、中退者の増加など、高校教育が直面する課題を解決するためには、今まで以上に「一人一人に行き届いた教育」が求められており、その最大の処方箋は少人数学級・学校の小規模化です。国の施策として小学校全学年が35人学級となり、来年度から中学校にも拡大されるもとで、15年先まで40人学級を前提にすること自体、「中長期的ビジョン」として不適切です。「教育の質の向上」(吉村知事)と言うのであれば、学校を減らすのではなく、少子化をチャンスと捉え、少人数学級による教育条件改善に踏み出すべきです。
 第二に、「公私の切磋琢磨」「各校の魅力化・特色化」などと学校間競争を煽り、志願倍率を基準に高校をつぶしていく施策の転換が求められます。現在の入試状況は、公立も私立も「定員割れ」校が増加する一方、公立では毎年「定員割れ」数を上回る不合格者が出ています。受験競争を緩和し、希望者全入こそめざすべきです。そもそも公立高校の「定員」にはゆとりがあって当然であり、「就学セーフティネット」として進学予定者数を上回る定員を設定しているもとで、「志願倍率に満たない」ことを問題視すること自体、施策として整合性がありません。
 第三に、この間の高校つぶしによって、自転車で通える、地域の公立高校が失われ、子どもたちの学ぶ権利が侵害されているのは大問題です。アクションプラン案自身が、「地域の拠点的な学校の設置」を打ち出さざるを得ない状況となっています。今回対象となった懐風館高校は、2008年に羽曳野高校と西浦高校の統廃合でできた学校ですが、その後も、2019年に長野北高校と柏原東高校、2024年に平野高校と美原高校が募集停止されるなど、近隣の学校が次々廃校となっています。
 第四に、アクションプラン案は、「老朽化している学校の建て替えや美装化と一体で行う」ことで再編整備の「刷新感」を打ち出すなどとしていますが、府立高校の施設老朽化の問題は、再編整備とは関係なく、ただちに対応すべき問題です。
 以上の点から、大阪の高校を守る会は、道理のない高校つぶしの撤回と、少人数学級実施、老朽校舎の建て替えなど、府立高校の教育条件の抜本改善を求め、大阪府、府教委、府議会への取り組みに全力をあげます。